コラム|株式会社内藤ハウス

高架下の店舗はどうやってつくられる?基礎工事の難しい高架下スペースを有効活用する方法

作成者: 株式会社内藤ハウス|2025/12/23

駅近の未利用地として注目される高架下。近年はカフェや物販店をはじめ、シェアオフィスなどを目的とした活用が進み、街の新しい拠点として存在感を増しています。しかし、高架下は構造や施工条件に多くの制約があるため、建設にあたってはさまざまな工夫が必要です。
 本記事では、高架下に店舗をつくる際の技術的な課題を整理し、その制約を乗り越える建築ソリューションとして、内藤ハウスの「システム建築」をご紹介します。 

1.注目される高架下店舗 駅近物件の新たな価値 

都市部では鉄道の高架化や再開発の進展により、高架下スペースの活用が一段と広がっています。かつては倉庫や駐輪場として使われることが多かった場所が、飲食店、物販、シェアオフィスなど多様な用途で使われるようになり、新しい動きを街に生み出す商業エリアとして注目されています。

高架下スペースは駅近で利便性が高いことに加え、一般的な商業地よりも低コストで利用できる点が、出店を検討する事業者にとっての大きな魅力です。さらに、自治体や鉄道会社が地域活性化施策の一環として高架下の整備を後押ししており、単なる空きスペースの活用ではなく街に活力をもたらす拠点としての価値も高まっています。

2.高架下に店舗を建設するメリットとデメリット   

高架下に店舗を構えることで得られる最大の魅力は、駅直結や駅近といった立地がもたらす集客力の高さです。高架は日常的に多くの人が行き交う動線上にあって自然と視界に入るため、その下に広がる空間はさまざまな業態にとって魅力的なロケーションとなります。

また、従来は十分に活用されてこなかったスペースを、店舗として再生することで土地利用効率が高まり、街に活気をもたらすこともできます。歩行者の滞留を促すことによって治安の向上にもつながるなど、周辺エリアへのさまざまな波及効果も期待できるでしょう。

しかし、一方では特有の課題も少なくありません。例えば、高架下は鉄道敷地内のため、高架の建て替えや鉄道企業の計画などが発生する可能性があるため、長期的な利用には適さない点があります。そのため、短工期・低コストで対応可能な軽量鉄骨が重宝します。

また、面積や高さの制限、地盤の状況、防火基準など、構造面の制約も多く、設計には細やかな調整が求められます。施工段階では重機や大型資材の搬入が難しいケースもあります。加えて騒音・振動への配慮や、採光・換気の確保など、クリアすべき課題は決して少なくありません。

こうした条件を整理し、立地の特性に合わせた最適な計画を立てることが、高架下の店舗建設を成功させる鍵となります。

3.高架下での建設を難しくする技術的課題   


実際の建設にあたっては技術的な課題もあります。まず、鉄道や道路を支える高架下には太い柱や梁が縦横に組み合わさっていて、建物を置ける範囲や高さに大きな制限を与えています。柱間の距離や梁下のクリアランスに合わせ、レイアウトや天井高に加えて通路幅も工夫する必要があり、一般的な敷地と異なる発想による設計が求められるでしょう。

さらには、構造面でも配慮が必要です。既存の高架に対する荷重を最小限に抑えるため、建物はできるだけ軽量化して基礎工事も簡略化が望まれます。将来的な撤去や改修の可能性を見据えた設計が必要となるケースも珍しくありません。

また、施工の環境も厳しい条件にさらされます。狭い作業スペースに大型重機や部材を搬入することは難しく、こうしたことが影響すれば作業効率も下がりがちとなります。加えて、鉄道会社の安全基準により、夜間作業が中心となる場合もあり、そうなれば工期への影響は避けられません。

こうした制約によって高架下では従来型の重量鉄骨構造のみによる対応が難しいことも多く、高架下に適したより柔軟で効率的な建築方式が求められるのです。

4.高架下でも施工可能! 内藤ハウスの「システム建築」  


内藤ハウスの「システム建築」は、標準化された軽量鉄骨造の建物を、設計から生産、施工まで一貫管理の物建設するシステムです。基礎から内装に至るまで精密に計算された設計を行う事で、高架下の既存構造に対する負荷を最小限に抑え、重機の搬入が難しい敷地でもスムーズに施工できます。

内藤ハウスのシステム建築商品をいくつかご紹介します。

●MATCH-Bright 明るく開放的な店舗空間
従来は重量鉄骨でしか実現できなかった大開口を軽量鉄骨で可能にしました。重量鉄骨に比べて基礎への負担を軽減できるだけでなく、柱型を最小限に抑えられるので店舗内のレイアウトに関する自由度が大幅に向上します。

外壁ブレースを隅部に集約して開口部の自由度を向上させており、採光性と開放感を確保して高架下特有の閉塞感を和らげます。内外装の自由度が高いと言う点に加え、店舗ごとのデザイン要件にも柔軟に対応できる点も魅力です。 

●MATCH-Order 多様な条件に柔軟対応
高架下のスペースは形状が不規則な場合が多く、テナントの用途やデザイン要件に合わせた柔軟な設計が求められます。MATCH-Orderは尺/メーターモジュールが選択可能で、他構造(S造・RC造・木造)からの置換えにも対応。複雑な敷地条件でも最適な空間を設計することができ、施工後の将来的なレイアウト変更や増築にも柔軟に対応できます。

●ParkL Bike 高架下の駐輪ニーズにも対応
高架下は駐輪場としての需要が高く、省スペース型駐輪棟「ParkL Bike」が活用されています。限られた敷地でも高い利用効率の実現が可能で、店舗併設や公共施設との組み合わせも容易です。街の利便性を向上させるだけでなく、周辺環境との一体的な空間デザインにも貢献します。

5.高架下を使われない空間から街の拠点”へ

高架下は都市に眠る大きな未利用の空間として、まだ十分に引き出されていない潜在的な価値を秘めています。従来の工法では設計や施工が難しい場所でも、内藤ハウスの「システム建築」を活用すれば、短工期・低コストで高品質な建築が期待できます。
単なる空間の活用にとどまらず、店舗としての魅力を引き出し、街のにぎわいや利便性を高める。高架下におけるシステム建築は、そうした新しい価値を生み出す建築アプローチとして、今後ますます注目される存在となるでしょう。

さらに詳しい導入メリットについては以下の参考記事もご覧ください。
参考記事:「「最適設計×システム建築」―軽量鉄骨と重量鉄骨の最適な組み合わせで課題を解決!」

システム建築については下記のページもご覧ください。
■システム建築・プレハブ|株式会社内藤ハウス

ライタープロフィール

一級建築士
辻 久(つじ ひさし) 

 INA新建築研究所を経て独立し、建築設計due代表を務める。現在まで20年以上、一級建築士事務所を運営し、住宅、店舗、集合住宅、医療福祉施設など多数の設計監理実績がある。 

HP:https://due2002.com/