病院の駐車場は外来患者の多くが最初に利用する場所だけに、安心・安全、そして便利で快適なスペースであることが求められます。
本記事では医療を支える重要なインフラの一部である病院駐車場を、患者の目線に立ってどのように設計できるかをはじめ、災害時でも医療を止めない病院BCP(事業継続計画)のポイントを整理。現代の病院経営に求められる要件を踏まえ、内藤ハウスの自走式立体駐車場「ParkL Car(パークル カー)」が持つ特長を解説します。
●視認性の高い駐車場設計
どんな駐車場でも基本となる設計は、明るくて見通しが良く、運転・駐車がしやすいことです。とりわけ病院の駐車場では分かりやすい動線を計画し、死角を減らして十分な照明を配置することにより、高齢ドライバーや体調不良の来院客でも空きスペースを見つけやすい構造となります。また、薄暗い時間帯でも歩行者を素早く認識できて安全性もアップします。
●歩車分離とバリアフリー
車と歩行者の動線を様々な方法ではっきり分ける「歩車分離」の徹底は、接触事故を防ぐ上で極めて重要です。また、転倒防止のために通路をフラットにする、スロープは車いすでも移動しやすい勾配にする、足の不自由な方向けの補助設備をルート上に切れ目なく設ける、などの配慮も求められます。
●安心・安全のための備え
万が一、来院者の体調が急変した時などに備え、駐車場にもストレッチャー対応の大型エレベーターを導入する、AEDを各階から分かりやすい場所に設置するなど、院内と同等の安全・安心を確保するための備えがあると安心です。
患者の満足度を向上させるためには、利用者の視点に立った細やかな利便性の追求も不可欠です。患者ファーストな駐車場に取り入れたい設備や設計アイデアをまとめます。
●快適に利用できる駐車場づくり
真夏日や悪天候時に通院しなければならない場合、駐車場に屋根があると快適に乗降や移動することが可能です。また、立体駐車場の上階から病院施設に直接アクセスできる連絡通路が設置されていると、天候を気にせずに院内へ移動できるので来院者の身体的ストレスが軽減されます。
●思いやり駐車スペースの確保
車いす使用者用だけでなく妊婦や高齢者、怪我人にも配慮した「思いやり駐車場」も欲しいところです。自治体のパーキング・パーミット制度(対象者を限定した利用許可証の発行制度)とも連動させ、入り口やエレベーターに近いエリアへ配置して院内までの移動経路について最短化・安全化を図ります。
●駐車位置を思い出せるような配慮
どこに車を停めたか分からなくなってうろうろ…。そんな「駐車位置迷子」を防ぐには誰もが直感的に理解できるユニバーサルデザインの要素を取り入れた分かりやすいサイン計画が必要です。各階でテーマカラーをはっきり変える、エレベーターホールに分かりやすいシンボルマークを大きく掲示するなど、自然に記憶させるための工夫ができるでしょう。
●病院駐車場における駐車台数設定の重要性とその目安
適切な駐車台数の設定は経営や地域環境を左右する重要なポイントです。駐車できる台数が少なすぎるとスペースが空くのを待つ車両で周辺の道路が渋滞します。駐車場に入るまでの時間も長くなるので利便性も悪化するでしょう。逆に必要以上のスペースを確保してしまうと無駄な建築コストを生むだけでなく、敷地が圧迫されて院内施設の拡張や動線計画に支障をきたすかもしれません。
必要な駐車台数は公共交通機関の利便性や地域性で異なりますが、病床数300以上の病院を目安にすると、都市型の神奈川県では「病床数×約0.5台分」、車社会の地方型である群馬県では「病床数×約0.9台分」が確保されています。地域の実態に即した綿密な規模計画が必要です。
災害発生時でも医療機能を維持する病院BCP(事業継続計画)において、広大な敷地を持つ駐車場は新たな役割を担う重要拠点となります。有事の際も医療を止めないようにするため、駐車場が果たすべき具体的な防災視点を解説します。
●病院BCPにおける駐車場の位置づけ
大規模災害の発生時、院内が負傷者対応に追われる一方で外部からの医療物資を受け入れる「搬入拠点」や、緊急参集した「医療関係者のスペース」がきちんと確保されていることはBCPの成否を分けます。病院駐車場が多くの人やモノの一時的な受け入れ拠点として機能するには、大災害に耐えうる高度な耐震性や耐火性、多人数・重量物の集中に耐える強固な耐荷重性能が不可欠です。
●第2の救護・トリアージ拠点としての活用
さらに進んだ役割として、駐車場を災害時の「第2の救護施設」や、「トリアージ拠点」として位置づけるケースが増えています。大災害が発生した時に院内の混雑を避け、負傷者の緊急選別や一次避難を安全に行うには、こうした活用を見据えた設計が欠かせません。
雨風をしのげる屋根はもちろんのこと、救急車がスムーズに出入りできる天井高、夜間の医療行為を支える電源や照明などをあらかじめ備えることで、有事の際に駐車場が命を繋ぐスペースとして機能します。
患者ファーストの安全性や利便性の追求、災害時も医療を止めないBCP対策、そしてコストの抑制。近年の病院駐車場に求められるこれらの課題をクリアし、理想的な駐車空間を実現するのが内藤ハウス独自の自走式立体駐車場「ParkL Car」です。その主な特長について解説します。
●丁寧なヒアリングとBIMを駆使した最適なプランを提案
内藤ハウスでは豊富な実績データをベースにした丁寧なヒアリングのもと、まずは各病院のご要望や地域特性に合わせた最適なプランを計画します。計画段階からBIM(3次元モデル)を駆使することで、敷地内の配置計画や車両の動線を立体的に可視化。分かりやすい竣工後のイメージを事前に共有し、納得のいくプランニングを実現します。
●安全でストレスのない患者目線の設計
高強度で大スパンが得られる構造計画により、見通しが良好です。また、歩車分離や減速標示、色分けサインを設置することで、安全・快適な場内を創出するほか、広幅階段や二段手すり、院内直結通路や屋根付き歩道(※行政協議が必要)でスムーズな移動を支えます。
さらに、ストレッチャー対応エレベーターやAED、暗視・防犯カメラ、緊急通報装置などの各種設備にも柔軟に対応し、患者目線に立った安全でストレスのない利用環境を形にします。
●病院BCPを支える災害対応スペック
自然災害に強い構造をベースとして、太陽光やEVを活用した非常用電源、防災備蓄倉庫、災害救援自販機などを提案。天井は救急車が進入できる高さを確保し、梁にカーテンフックや着脱式の車止めを採用することで、有事の際は即座に第2のトリアージ施設や一時避難場所へと形を変えるなど、ハード面から医療継続を支える確かな災害対応スペックを実現します。
●経営に寄り添うトータルパッケージのご提案
設計・施工・生産の一貫体制で、高品質、低コスト、短工期を実現。維持管理や運営までの「一括契約」で病院側の業務を軽減し、リース活用や修繕・廃棄まで見据えたライフサイクルコストの最適化を推進します。さらに、複数の施設を一括事業化することによる「賃貸借料収入」の提供など、柔軟なスキームで病院経営に寄り添う最適なトータルパッケージをご提案します。
病院の駐車場は単なる車両の収容スペースにとどまりません。来院する患者への「思いやり」を具現化する場所であり、災害時でも医療を止めないBCPの重要拠点になる場所です。
内藤ハウスは「ParkL Car」を通じて患者目線の安全設計からトリアージ施設への転用、さらには維持管理・運営まで含めたトータルパッケージをご提案。病院建築の価値を最大化する最適な駐車空間を、確実な体制と優れたコストパフォーマンスで実現し、これからの地域医療における基盤を支えます。
なお、敷地に対する概算台数の確認には、内藤ハウスの「駐車場シミュレーター」が便利です。簡単な条件入力で手軽に試算できますので、ぜひご活用ください。
参考リンク:「患者様が来院しやすい病院づくりに繋がる駐車場のご提案。」
https://brands.naitohouse.co.jp/parkl/car/solution-3
一級建築士 第二種電気工事士
辻 久(つじ ひさし)
INA新建築研究所を経て独立し、建築設計due代表を務める。現在まで20年以上、一級建築士事務所を運営し、住宅、店舗、集合住宅、医療福祉施設など多数の設計監理実績がある。
HP:https://due2002.com/