「従業員の駐車場が足りない…どう解決すれば?」――工場や郊外型施設で増え続ける通勤車両問題は深刻です。従業員駐車場の建設にあたっては、スペースだけでなく安全性や快適性の確保、さらには周辺環境に対する影響も考慮しなければなりません。
自走式立体駐車場は限られた敷地でも効率・コスト・安全を両立できる解決策となります。本記事では自走式立体駐車場のメリットと、先進事例として注目される内藤ハウスの立体駐車場ブランド「ParkL Car(パークルカー)」をご紹介します。
工業地域や郊外の工場では市街地と違って鉄道やバスなどの公共交通機関が整備されていないことも珍しくありません。このような現場では多くの従業員が自家用車で通勤せざるを得ず、企業にとって「一人一台」の駐車スペースを確保することが重要な課題となります。
しかし、敷地面積や土地取得の制約から、全従業員分の駐車場を確保することは容易ではありません。交代勤務やシフト制の影響で出退勤時間が重なると、駐車スペースが必要な台数はさらに増加します。
また、出退勤のタイミングが集中することで、場内の混雑や周辺道路の渋滞が深刻化するかもしれません。加えて、トラックなどの運搬車両や取引先の来客車両、フォークリフトなどの構内走行車両が混在する場合、安全確保の問題は一層複雑になります。
十分な駐車スペースが確保できなければ通勤環境に影響を及ぼすだけでなく、人員の増加や設備拡張といった企業の成長そのものを制限する要因にもなりかねません。工場において従業員の駐車場を建設する際は、限られた敷地内で十分なスペースを確保することとともに、安全性と効率性を両立した計画的な整備が欠かせないのです。
従来、多くの工場で採用されてきたのは平面駐車場です。しかし、従業員の数が増え続ける現場では、次第にその限界が浮き彫りになっています。
まず、最大の課題は「土地の確保」です。平面駐車場は駐車台数に比例した広大な敷地を必要とします。都市近郊や工業団地内では土地を新たに拡張することが難しく、土地の購入・借り上げなどにかかるコストは大きな負担になります。
また、広い敷地に分散して駐車する場合、従業員の歩行距離が長くなり、場内で人と車の動線が交差する機会が増え、安全上のリスクが高まります。加えて、防犯カメラや照明を広範囲に配置しなければならず、防犯性の確保や管理作業の手間も膨らみがちです。除雪・除草などの維持管理コストも軽視できません。
さらに、工場ではしばしば増築や生産ラインの拡張が行われます。そのたびに従業員も増え、駐車需要は一層拡大していくでしょう。平面駐車場には「将来的な企業の成長に対応できない」という構造的な限界があるのです。
そこで注目されるのが自走式立体駐車場です。平面駐車場は敷地の広さに依存しますが、立体駐車場なら敷地を有効活用しながら縦方向に駐車スペースを積み重ねられます。その結果、限られた土地で大幅な駐車台数の増加を実現できます。
また、短時間での入出庫機能を優先したスロープや、駐車効率を優先したスパイラルタイプなど、立体駐車場内の配置によって求められる性能を柔軟に設計する事が可能です。
加えて、自走式立体駐車場は駐車スペースの多くが屋根付きの構造なので、雨や雪から車両が守れるとともに従業員も快適に利用できます。駐車場を敷地の一角に集約すれば、歩行距離が減って通勤時間を短縮でき、場内の安全性も高まります。
このように、自走式立体駐車場は土地・時間・安全の三拍子が揃った解決策といえるのです。
平面駐車場の限界を超え、敷地と人の動線を最適化する――。これを実現するのが自走式立体駐車場です。中でも内藤ハウスの「ParkL Car」は、安全性・利便性・防犯性・コスト効率を兼ね備えた従業員駐車場の新しいスタンダードとして注目されています。
安全性・利便性・防犯性を高める設計
「ParkL Car」の大きな特徴は安全性や利便性を考慮した設計です。出退勤時の慌ただしい車両の動きや歩行者の安全に配慮し、ロングスパン設計による余裕ある駐車空間を確保。また、車と歩行者を分離する専用ラインを配置しています。
加えて合流部には回転警告灯やスピードバンプ、注意喚起サインを設置し、ヒューマンエラーによる事故防止に努めています。さらにはバリアフリー区画の設置により、すべての従業員が安全に利用できる環境を実現します。
また、センサーライトによる照明、防犯カメラ・ICカードゲートなどのセキュリティ設備も備えており、不正侵入やトラブルの防止で安心感を高めています。
コスト効率を追求したトータルパッケージ
「ParkL Car」は規格化されたシステム建築を採用しており、設計・施工・生産まで一貫対応。これにより、短工期・低コストを実現します。さらに、維持管理・修繕・廃棄を含めたライフサイクルコストの最適化も追求し、建設後も長期的にコスト負担を抑える駐車場づくりを可能にします。
敷地条件に応じた柔軟なレイアウトと将来対応
「ParkL Car」では、限られた敷地でも最大限の駐車台数を確保するため、「駐車場のプロ」が最適なレイアウトを設計、敷地条件や台数要件に応じた柔軟な配置を可能にします。規格化された構造によって将来の増員や設備拡張にも対応しやすく、長期的な運用計画に適しています。
内藤ハウスの「ParkL Car」は商業・公共施設など、さまざまな分野で採用されてきました。工場での採用も増加しており、従業員が安全・快適に働ける環境づくりを支えるインフラとして評価されています。その実績は機能性の高さと確かな品質に対する信頼の証です。駐車場づくりの新たなスタンダードとして、その可能性はさらに広がり続けています。
「ParkL Car」のさらに詳しい導入メリットは以下の参考記事をご覧ください。
■立体駐車場・立体駐輪場ブランド「ParkL」
■ParkL Car 従業員の安全を守り、生産性向上にも繋がる駐車場のご提案。
また、内藤ハウスのシステム建築については、下記の記事もぜひご参照ください。
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一級建築士
辻 久(つじ ひさし)
INA新建築研究所を経て独立し、建築設計due代表を務める。現在まで20年以上、一級建築士事務所を運営し、住宅、店舗、集合住宅、医療福祉施設など多数の設計監理実績がある。