コラム|株式会社内藤ハウス

人手不足解消・生産性向上を目指すスマートファクトリー(スマート工場) 生産ラインの自動化を支える空間づくりのポイント

作成者: 株式会社内藤ハウス|2026/11/04

 

「人手が足りない」「生産性を上げたい」——こうした課題を背景に、製造業では生産ラインの自動化、そしてスマートファクトリー(スマート工場)化への関心が高まっています。しかし、最新の自動化設備を導入しても、それを受け入れる「建物(空間)」が対応できていなければ、設備は本来の能力を発揮できません。

本記事では、スマートファクトリーの基礎知識から、自動化の妨げになりやすい「柱・耐力壁・ブレース」の問題、大空間がもたらす生産レイアウトの自由度、活用できる補助金まで、スマート工場化の「土台」となる空間づくりのポイントを解説します。あわせて、鉄骨造で大空間の工場を数多く手がけてきた内藤ハウスの取り組みもご紹介いたします。

1.スマートファクトリー(スマート工場)とは?人手不足・生産性の課題と自動化の流れ

スマートファクトリー(スマート工場)とは、生産設備や工程の自動化・デジタル化により、生産性向上や人手不足の解消を目指す工場のことです。自動搬送車(AGV・AMR)による部品や製品の搬送、産業用ロボットによる加工・組立・検査、自動倉庫による保管・入出庫など、自動化の対象は工場のあらゆる工程に広がっています。

背景にあるのは、深刻な人手不足です。帝国データバンクの調査によると、正社員の不足を感じている企業は2026年4月時点で50.6%と、4月として4年連続で半数を超えています。人手不足を要因とする倒産も2025年度には441件と過去最多を更新しており、限られた人員で生産を維持・拡大する手段として、生産ラインの自動化・省力化はもはや避けて通れないテーマになりつつあります(出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」)。

ただし、ここで見落とされがちなのが「建物」の存在です。最新の自動化設備やロボットを導入しようとしても、「その設備を置ける空間」がなければ能力を発揮できません。つまりスマート工場化の成否は、設備そのものだけでなく、それを受け入れる「建物(空間)の設計」にも大きく左右されるのです。本記事では、その「土台」となる空間づくりのポイントを解説します。

ただし、ここで見落とされがちなのが「建物」の存在です。最新の自動化設備やロボットを導入しようとしても、「その設備を置ける空間」がなければ能力を発揮できません。つまりスマート工場化の成否は、設備そのものだけでなく、それを受け入れる「建物(空間)の設計」にも大きく左右されるのです。本記事では、その「土台」となる空間づくりのポイントを解説します。

2.スマート工場化で直面する「柱・耐力壁・ブレース」の配置問題 

工場の構造形式や規模によっては、屋根や建物を支えるために、建物内部に柱だけでなく、耐力壁やブレース(筋かい)といった構造材が必要となる場合があります。

しかし、床面に柱や耐力壁があると、自動搬送車(AGV・AMR)の走行ルートやロボットアームの可動範囲が制限され、自動化設備を理想の位置に配置しにくくなります。特にAGV・AMRの走行には、障害物のないまっすぐな通路と段差の少ない平坦な床が望ましく、柱を避ける迂回ルートでは搬送効率が低下する可能性があります。

また、建物内部に耐力壁やブレースがあると、間取りの自由度にも制約が及び、大型機械の搬入経路や設備配置の選択肢が狭まります。柱を避けるために生産ラインが分断されたり、動線が複雑になったりして生産効率が下がるケースもあります。
さらに、将来のレイアウト変更や設備の入れ替え、開口位置の変更の際にも、柱や耐力壁・ブレースが障害となって、自由な見直しを妨げてしまいます。

だからこそ、できるだけ柱・耐力壁・ブレースの少ない「大スパンの大空間」をどう確保するかが、スマート工場化の出発点となるのです。

3.「大空間」が生産レイアウトの自由度を高める

重量鉄骨によるラーメン構造などを採用すると、内部の柱を抑え、耐力壁やブレースによる空間の制約も少ない、大スパンの空間を計画しやすくなります。柱にしばられないフラットな床面は、生産設備やラインを「置きたい位置に、置きたいように」配置できる自由度をもたらします。
この「柱のない大空間」という土台があることで、製品や生産量の変化に応じて柔軟に対応できる生産体制を組みやすくなります。
最大のメリットは、「変更に対応しやすい」ことです。生産する製品の切り替え、ライン配置の組み替え、増産・減産に伴うスペースの調整、工程の追加や機械の入れ替え、多品種少量生産に向けたゾーン分けなど、工場では稼働後もレイアウトの見直しが繰り返し発生します。柱に妨げられない大空間であれば、こうした変更のたびに建物側の制約に悩まされることなく、動線や設備の配置を柔軟に見直すことができます。
なお、こうした柔軟性はあくまで「大空間という建物・空間」が生み出すものであり、AI・IoTや生産設備そのものの導入・設計を指すものではありません。しかし、どれほど優れた設備も、置く場所と動かす余地があってこそ力を発揮します。空間の自由度は、設備投資の効果を高めるための重要な条件の一つといえるでしょう。

4.大空間だからこそ生きる、自動化・省力化に適した建物の工夫

大空間を土台に、設計段階で次のような工夫を織り込んでおくと、自動化・省力化の設備をより生かしやすい工場になります。

●高さ(天井高)の確保
多段の自動倉庫や背の高い搬送設備の導入を見越した天井高を確保しやすくなります。天井高は建てた後から変えられないため、将来導入したい設備まで含めて計画しておくことが大切です。

●床荷重・振動への配慮
重量のある設備やロボットに応じた床の設計を、事前に見込んでおけます。精密な加工・検査を行うエリアがある場合は、振動への配慮も設計段階から検討しておくと安心です。

●電源・配線・通信への備え
自動化設備が増えるほど、電源容量や配線・配管ルートの確保が重要になります。設備同士をつなぐ無線通信の電波環境も建物の形状やレイアウトの影響を受けるため、設計段階から見込んでおくと、設備の導入がスムーズに進みます。

●作業環境の整備
明るさや動線、空調・換気など、人と設備が協働しやすい作業環境を設計段階から組み込めます。

●将来の拡張・連棟を見据えた計画
将来の生産拡大や棟の追加を見据えた配置・構造計画が立てやすくなります。
スマート工場化では、AI・IoT・生産機器そのものだけでなく、それらを生かす「器」としての建物計画も重要なのです。

5.補助金を活用した設備投資と建築計画の同時進行

設備投資と建築工事には多額の費用がかかります。その負担を抑える手段のひとつとして有効なのが、補助金の活用です。
ただし、補助金には申請時期や内容など、厳守すべき要件があります。特に注意したいのが、多くの補助金では「交付決定前に契約・発注した経費は原則として補助対象外」となる点です。建築のスケジュールと申請のタイミングがずれると、せっかくの投資が補助を受けられなくなるおそれもあります。だからこそ、建築計画を進めながら補助金申請も同時進行させることが重要なのです。

工場建設・設備投資に活用しうる代表的な補助金には、以下のようなものがあります(名称・要件は年度により変更されるため、最新の公募要領の確認が必要です)。

①大規模成長投資補助金(中堅・中小・スタートアップ企業)
新工場建設や製造ライン一式の新設など、大規模投資に活用できる補助金です。建物費も対象となる場合があるため、工場建設での活用を検討できます。(出典:大規模成長投資補助金 公式サイト/経済産業省)

②中小企業成長加速化補助金
売上高100億円を目指す企業の大規模投資を支援する補助金です。(出典:中小企業成長加速化補助金 公式サイト/独立行政法人 中小企業基盤整備機構)

③新事業進出補助金(旧・事業再構築補助金)
新たな事業への進出に伴う設備投資等を支援します。(出典:新事業進出補助金 公式サイト/独立行政法人 中小企業基盤整備機構)

④中小企業省力化投資補助金
人手不足解消のための省力化設備の導入を支援します。人手不足に悩むスマート工場化と目的が合致しやすい補助金です。(出典:中小企業省力化投資補助金 公式サイト/独立行政法人 中小企業基盤整備機構)

⑤ものづくり補助金
革新的な製品・サービス開発や生産性向上のための設備投資を支援する代表的な補助金です。(出典:ものづくり補助金総合サイト/全国中小企業団体中央会)

内藤ハウスでは、工場建設に関連する補助金について、要件確認や申請準備のサポートを相談できます。制度ごとに対象経費や申請要件、スケジュールが異なるため、最新の公募要領を確認し、必要に応じて各制度の事務局や専門家にも相談しながら、建築計画と申請準備を進めることが重要です。

6.内藤ハウスの重量鉄骨システム建築が「スマート工場の土台」を支える


内藤ハウスは創業以来、システム建築メーカーとして、重量鉄骨造の大スパン・大空間の工場・倉庫を数多く手がけてきた実績を持っています。
部材の標準化・自社工場生産・設計から施工までの自社一貫体制により、「高品質・低コスト・短工期」を実現。用途・規模に応じて最適な構造を選定し、大空間が求められる生産棟には重量鉄骨造、事務棟などには軽量鉄骨造といった使い分けも可能です。
建屋(空間の土台)の設計・施工と、補助金申請のサポートをあわせて提供することで、施主のスマート工場化計画をトータルで支援します。

7.まとめ

スマートファクトリー(スマート工場)化の成否は、最新の自動化設備だけでなく、それを受け入れ、将来の変化にも柔軟に対応できる「建物(空間)」にも大きく左右されます。
重量鉄骨システム建築による「柱を抑えた大空間」は、生産ラインのレイアウトや設備の入れ替えを行いやすい「土台」となり、人手不足解消や生産性向上の取り組みを下支えします。
内藤ハウスは、大空間を実現する重量鉄骨システム建築と、補助金申請のサポートを通じて、スマート工場化の「土台」づくりをお手伝いします。工場の新築・改修をお考えの際は、ぜひ内藤ハウスにご相談ください。

内藤ハウスのシステム建築については、下記から資料ダウンロードが可能です。
■システム建築・プレハブ|株式会社内藤ハウス
https://www.naitohouse.co.jp/business/prefabrication
また、工場建設と補助金の活用については、下記の記事もご覧ください。
■工場建設は重量鉄骨システム建築へ!中小企業が補助金を活用して生産ラインを拡大中 
https://www.naitohouse.co.jp/column/2511-1

 

ライタープロフィール

一級建築士 宅地建物取引主任 AFP
高木 一滋(たかぎ かずしげ)

高木滋生建築設計事務所、代表取締役。日本大学理工学部・交通土木学科卒業後、株式会社マルコーを経て、父が経営する株式会社高木滋生建築設計事務所に入社。これまでに商業施設、文化施設、個人住宅ほか約600件の実績があり、芸術的センスを活かした、世界に一つのオリジナル建築物を「オーダーメイド建築商品」として提供。日本で初めての「お金(FP)、建築(建築士)、不動産(宅建)」の国家資格取得者であり、静岡大学の非常勤講師も務める。
HP:https://www.takagi-sekkei.com/