鉄骨造で使われる形鋼の種類と用途 軽量鉄骨造で使われる鋼材にも注目

2026/09/08

目次

 

工場や倉庫、事務所など、鉄骨造の建物はさまざまな「形鋼(かたこう)」によって支えられています。しかし、さまざまな形の鋼材を目にすることはあっても、それぞれどんな特徴があり、どのように使われるのかは分からないという方が多いのではないでしょうか。本記事では鉄骨造で使われる代表的な形鋼の種類をご紹介し、それぞれの特徴と用途を整理したうえで、意外と知られていない「軽量鉄骨造で使われる鋼材」や、角形鋼管の規格「BCR」と「BCP」の違いまで解説します。あわせて、重量鉄骨・軽量鉄骨の両分野で豊富な実績を持つ内藤ハウスの取り組みもご紹介いたします。

1.そもそも「形鋼」とは? 鉄骨造を支える鋼材の基礎知識

nh4-1_2形鋼とは、断面が一定の形状になるよう成形された鋼材の総称です。「H形鋼」「山形鋼」のように、断面の形を表す言葉が名称の頭に付くことが多いため、名前からおおよその形状をイメージできるかもしれません。

形鋼は、製法によって大きく2種類に分けられます。ひとつは、鋼を高温のままローラーで引き伸ばしてつくる「重量形鋼」、もうひとつは、一般的に板厚6mm程度以下の薄い鋼板を、冷間(常温)で折り曲げて成形する「軽量形鋼」です。なお、単に「形鋼」と言う場合は、基本的には重量形鋼を指します。

鉄骨造(S造)では、柱や梁といった主要な構造材はもちろん、下地材や補強材まで、建物のさまざまな部位で形鋼が使われています。どの形鋼を選ぶかは、求められる強度・スパン・コスト・施工性によって変わりますが、重量形鋼は主に土木・建築の主要構造材として、軽量形鋼は母屋(もや)・胴縁(どうぶち)をはじめとする下地材・二次部材を中心に用いられます。


2.重量鉄骨造に使われることが多い鋼材 

ビルなどの建設に用いられることの多い重量鉄骨は、「断面の形状(形鋼・鋼管)」で分けると5~6種類に集約されます。そのうち基本となる3つの鋼材をご紹介します。

●鉄骨造の主役「H形鋼」 少ない鋼材量で高い断面性能を得られる代表的な形鋼

nh4-1_3H形鋼は、断面がアルファベットの「H」の形をした形鋼です。上下の水平部分を「フランジ」、それをつなぐ中央の縦部分を「ウェブ」と呼び、寸法は「H-200×100×5.5×8」のように、せい(高さ)×幅×ウェブ厚×フランジ厚の順で表記します。

H形鋼の最大の特長は、少ない鋼材量で高い曲げ剛性・曲げ強度を確保できる「断面効率」に優れている点です。形鋼のなかでは需要が多く、形鋼の価格動向を見るうえで、H形鋼の価格が代表的な指標として扱われることも少なくありません。

柱・梁などの主要構造材に加えて基礎杭としても使われ、ビル・工場・倉庫・橋梁など、幅広い建築物を支えています。接合がしやすく、大スパン・大空間の架構に向くため、重量鉄骨造(S造)の中心的な部材として用いられています。

●背中合わせで柱・梁にも使える「溝形鋼(チャンネル)」nh4-1_4溝形鋼は断面がカタカナの「コ」の字形をした形鋼で、一般に「チャンネル(チャンネル材)」と呼ばれています。寸法は「[-100×50×5×7.5」のように表記します。

断面が左右非対称であるため、軸の向きによって断面性能が異なり、重心も断面の中心からずれるのが特徴です。フランジ先端にテーパー(勾配)や丸みのある突起が付いたタイプと、直角のタイプがあり、直角タイプは2本を背中合わせに組むことで、強度の高い柱・梁として使うこともできます。

単体では母屋・胴縁などの下地材や補強材として、組み合わせれば構造材としても使えるなど、用途の幅が広いのが溝形鋼の魅力です。建築のほか、船舶・車両・機械など多くの分野で活用されています。

●L字断面の万能鋼材「山形鋼」

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山形鋼は、断面がアルファベットの「L」字形(山形)をした形鋼で、「アングル材」とも呼ばれます。二辺の幅が等しい「等辺山形鋼」、幅の異なる「不等辺山形鋼」、幅も厚みも異なる「不等辺不等厚山形鋼」の3種類があります。

非対称な断面のため力のかかる向きによって強弱があり、断面性能はH形鋼ほど高くないことから、柱・梁などの主要構造材として単独で使われるケースはH形鋼などに比べると限定的です。しかし鉄塔・橋梁・ブレース(筋かい)・下地材・開口補強材にはじまり、門や柵の枠、ロッカーの取付金具にまで、万能鋼材として幅広く使われています。

重量鉄骨については下記の記事もご覧ください。
■工場建設は重量鉄骨システム建築へ!中小企業が補助金を活用して生産ラインを拡大中

 


3.軽量鉄骨造に使われることが多い鋼材 

軽量鉄骨造(軽量S造)でも、部材の役割ごとに鋼材を使い分けるのが基本です。主に軽量鉄骨造で使われる3種類の鋼材を整理します。軽量鉄骨造では、工場加工や現場施工の合理化などの観点から、ボルト接合が多く用いられます。

●角形鋼管(形鋼・角パイプ)
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軽量鉄骨造の柱の主役です。中空の閉断面は縦・横どちらの方向にも同等の強度・剛性を持ち、ねじれにも強いため、柱に最適な断面といえます。納まりがすっきりとして、内装との取り合いが良い点もメリットです。

小規模建築では一般構造用角形鋼管(STKR・JIS G3466)が広く流通しており、建物の柱としてより高い性能が求められる場合には、建築構造用のBCR・BCPが使われます(詳しくは次章)。

●C形鋼(リップ溝形鋼/Cチャンネル)
JIS G3350に規定される軽量形鋼の代表格です。軽溝形鋼に「リップ」と呼ばれる唇状の折り返しを加えることで断面性能を高めた形状で、母屋・胴縁・根太(ねだ)など、二次部材の定番として使われています。軽量鉄骨造に限らず、重量鉄骨造の建物でも、屋根・外壁の下地にはC形鋼が広く使われています。

なお、現在の軽量鉄骨造で、C形鋼が柱・梁などの構造材に使われることはほとんどありません。例外として、C形鋼を2本背中合わせに組んだ「リップH」が、仮設建物の柱に使われるケースがある程度です。

●溝形鋼(チャンネル)
薄鋼板を冷間成形した「軽溝形鋼」は、まぐさ・開口補強・階段まわりなどの下地材・補強材として活躍しています。前述の重量形鋼の項でご紹介した熱間圧延の溝形鋼とは、部位や荷重に応じて使い分けられています。

軽量鉄骨については下記の記事もご覧ください。
■軽量鉄骨とは?耐用年数や重量鉄骨との違いは?減価償却など税務上の違いも解説 


4.角形鋼管のBCRとBCPの違い 

角形鋼管には「BCR」と「BCP」という2つの規格があります。これは「Box Column(角形鋼管柱)」に、成形方法である「Roll(ロール)」か「Press(プレス)」の頭文字を組み合わせたもので、これから分かるように、最大の違いは「製造方法(形にする手順)」です。

BCR(建築構造用冷間ロール成形角形鋼管)は、コイル状の鋼板をいったん丸いパイプにし、そのあと四角く成形します。量産性が高く流通量も多いため、中低層の鉄骨ラーメン構造の柱として広く使われています。鋼種は「BCR295」1種類です。

一方、BCP(建築構造用冷間プレス成形角形鋼管)は、厚板をプレスで曲げ、四角く溶接・組立してつくられます。BCRよりも大きなサイズや厚い板厚に対応できるため、大規模建物の大断面柱に向いています。鋼種は「BCP235」「BCP325」の2種類のほか、角部の靭性まで保証した「BCP325T」もあります。

両者とも建築構造用鋼材(SN材)をベースに、一般構造用のSTKR(JIS G3466)では規定されていない「塑性(そせい)変形能力(建物に大きな力がかかったとき、変形することでエネルギーを吸収して耐える力)」や「溶接性」を確保した国土交通大臣認定材です。1994年に規格化され、現在では鉄骨造の柱材として広く使われています。

使い分けの目安となるのはサイズ・板厚・強度(F値)・コスト・納期ですが、一般的な規模の柱なら「BCR295」、大断面・厚板が必要な柱ならBCPが基本です。


5.内藤ハウスは軽量鉄骨・重量鉄骨どちらにも対応 最適な構造をご提案

形鋼や鋼管にはそれぞれ特性があります。求められる強度・スパン・コスト・施工性に応じて適切に選定・組み合わせることが、建物の性能とコストの両立につながります。特に軽量形鋼の場合、板厚が薄いぶん錆による断面欠損が性能の低下に直結しやすいため、めっき品の選定や、結露しやすい部位への配慮が重要です。

内藤ハウスは創業50年以上、システム建築・プレハブ建築のメーカーとして、重量鉄骨造・軽量鉄骨造のいずれにも豊富な実績を持っています。大スパン・大空間が求められる工場や倉庫には重量鉄骨造で高い剛性と耐久性を確保し、比較的小規模な事務所や店舗には軽量鉄骨造で、コスト・施工性・空間効率のバランスを図ります。

たとえば、1階を重量鉄骨造、2階を軽量鉄骨造とするなど、両構造の長所を組み合わせたプラン(例:MATCH-Duo)のご提案も可能です。
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また、部材の標準化・自社工場生産・設計~施工までの自社一貫体制により、品質の安定化、コストの最適化、工期短縮につながる体制を整えています。用途・規模・予算にあわせて、最適な構造と鋼材をご提案いたします。


6.まとめ

形鋼はそれぞれ強度・断面性能・施工性・コストに特徴があり、用途に応じて使い分けられています。適切な鋼材選びは、建物の安全性・機能性・コストを左右する重要なポイントといえるでしょう。

内藤ハウスは軽量鉄骨・重量鉄骨のどちらにも精通し、お客様のニーズに最適な構造をワンストップでご提案します。鉄骨造の建物をご検討の際は、ぜひ内藤ハウスにご相談ください。

内藤ハウスのシステム建築については、下記から資料ダウンロードが可能です。
■システム建築・プレハブ|株式会社内藤ハウス

 

 


ライタープロフィール

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一級建築士 宅地建物取引主任 AFP 
高木 一滋(たかぎ かずしげ)

高木滋生建築設計事務所、代表取締役。日本大学理工学部・交通土木学科卒業後、株式会社マルコーを経て、父が経営する株式会社高木滋生建築設計事務所に入社。これまでに商業施設、文化施設、個人住宅ほか約600件の実績があり、芸術的センスを活かした、世界に一つのオリジナル建築物を「オーダーメイド建築商品」として提供。日本で初めての「お金(FP)、建築(建築士)、不動産(宅建)」の国家資格取得者であり、静岡大学の非常勤講師も務める。
HP:https://www.takagi-sekkei.com/